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ヤブミョウガの種子は精巧な構造体 
―微細周期構造から虹色の光を放つ―
   

 ヤブミョウガ(藪茗荷:ツユクサ科)。多年草。花期は8月〜9月頃。 熟した果実はヤブラン等の果実の色・大きさとよく似ているが、一皮むけば全く様変わり。
 砂利状の固い不定多面体の種子が隙間なく詰まっている。煮ても焼いても食えそうにないが、それでもそれを餌にする鳥は限られるだろう。
 小粒ながら複雑な形状をし、像を拡大してみると表面全体が微細周期構造を形成している。 実際、CD等と同様に自然光を当てると回折・干渉効果で色鮮やかな虹色が出現(構造色)。 カワセミや蝶等ではよく知られた現象であるが、植物の種子による観察は初めて。 何のためにこうした形状・構造になっているのか分からない。ヤブミョウガの生態も複雑である。

                    
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  開花初期の頃のヤブミョウガ。日影の林床湿地に群生(狭山丘陵)。   茎の先端に両性花と雄花が混生。花柱の飛び出ているものが両性花。雌蕊が退化し花柱の見えない雄蕊だけのものが雄花。


 

  成熟前の果実。   果実の色は未熟から成熟になるに従い薄黄緑色〜薄茶色〜褐色〜黒紫色〜青藍色と変化に富む。


 
  果実の薄い表皮を剥がすと灰色の不定多面体の種子が楕円表面に沿って隙間なく詰まっている(左)。楕円の長径の平均値=6.5±0.28mm、短径の平均値=5.2±0.15mm、厚さ=1.0~1.2mm。一つの果実から取り出された種子数(25個)。どれ一つとして同じものはない(右)。種子数の平均値=23±2個。±部の数値はいずれも標準偏差。   形状の異なる種子(2例)。上列が表側(果実の表皮面)で、中央部は火口の様に凹み底から乳状突起(発芽・発根の場所らしい)が出る。下列が裏側で凸型形状。

  

  硬い種皮で覆われた種子を中央付近で切断した断面(最小目盛0.5mm)。中央の凹んだ所が乳状突起部分。   構造色の一例。種子の表面全体に微細な周期構造(格子状か蜂の巣状)を形成。周期間隔は10~30μm程度と推定。観測側で同位相の回折条件の白色光のみが虹色として観察。表面に凹凸があり限られた微小領域からの回折であるため、回折効率は低い。




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