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葉緑素欠損ギンラン
ー光合成を止めたアルビノ突然変異体― 

  ギンラン(銀蘭、ラン科)は多年草で開花は4月中旬頃。 純白の花は平開せず、短い距あり。
偶然に葉まで白色のギンランに初めて出会った(狭山丘陵)。 この特異な生態を見るため定点観察を続けて3年目。今春も同じ場所で葉緑素欠損ギンラン(アルビノ突然変異体:注1)が確認された。
  よく知られているように、キンラン・ギンラン等ラン科植物はコナラ・クヌギ(ブナ科)の根と共生関係にある菌根菌に寄生し、発芽・成長に必要な養分(炭素源・無機塩類)の一部を受け取りながら光合成も行っている部分的菌従属栄養性植物。アルビノ変異体は三者共存のバランスが変化して光合成能力を失った状態であり、開花・結実に至るまで菌経由で栄養分の供給がなければ生存できない。ギンリョウソウ等と類似の生活様式に転換しつつあるのか、新たな共存関係に至る要因はよく分からない。その安定性(生存率)を確認するため、今後も観察を続ける必要がある。野生ラン科の多くは環境変化や乱獲もあって絶滅危惧に瀕している。   
  なお、これまで観察してきた結果は、この分野で幅広く 研究されてきている末次健司氏(神戸大・理・生物)に提供しつつ 同時に色々と教わっています。  
  詳細は末次研(神戸大・理・生物)HPを参照のこと。→ 注1  注2

                                 
★ 写真をクリックすると大きい写真が見られます。 



  【写真1】 最初に確認された一株のアルビノギンラン
(A-1)。1週間後に果実を付け、約1か月後には葉・茎共に枯れ始める。近くの正常ギンランはその後もまだ青々としていた ( 2016/04/20).
  【写真2】 2年目も同じ場所に同一株のアルビノギンラン(A-1)を確認。果実を付ける時期と葉・茎共に枯れる始める時期は昨年とほぼ同様 (2017/04/27).


 

 【写真3】  写真2から約30p離れた所に少し大きめの新たなアルビノギンラン(A-2)一株を確認。 果実を付けた後約1か月で葉・茎とも枯れ始める (2017/04/27).   【写真4】 更に写真3より約1m離れた所に少し小さめのアルビノギンラン(A-3)一株も確認。 本株は果実を付けてから約2週間後に葉・茎とも枯れ始める (2017/05/02).


 
  【写真5】 3年目に入ると写真3と同じ場所にアルビノギンラン(A-2)2株が芽生え。この段階ではまだ全体が淡黄色。 右手前のものは正常ギンラン(N-1)の芽生え。 この年はアルビノギンランA-1, A-3は共に地上に現れなかった (2018/04/11).   【写真6】 開花時のアルビノギンラン(A-2)と正常ギンラン(N-1) (2018/04/18)。

  

  【写真7】 写真6のアルビノギンラン(A-2)のみ。 (2018/04/18).   【写真8】 果実を付けたアルビノギンラン(A-2)。 1週間後に果実は枯れ始めるが、葉・茎は枯れずに残る。 最近、ラン科植物の若い果実を食害するハモグリバエ被害が懸念されている(注2)。実際、キンラン,ギンランの多くの果実からその幼虫・蛹が確認された。 (2018/05/02).



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