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「3年目に実をつけたサイハイラン」
サイハイラン花後の結実の様子を観察(5月〜11月)しました。

  サイハイラン(采配蘭:ラン科サイハイラン属、多年草)はキノコ菌と共生している菌従属栄養植物。  狭山丘陵一帯ではごく普通にみかけられます。  花期は5月中旬で6月上旬頃から結実。3年前は実り多い年でしたが、この2年間は”花は咲けども実一つだに付けず”でした。
  今年も定点観察している場所では、約50m四方の範囲に約20株の開花株を確認。 結実しても途中で力尽き茎と共に次々と枯れるなか、やっと1株だけ完熟するまで観察することが出来ました。
  不作の原因は定かでありませんが、3年前は確かにキノコの量・種類共に大変豊富でした。 共生関係にある動植物は、環境変化に対して微妙なバランスを保ちながら成り立っているように感じます。
 
 地下部の球根はかつては救荒植物・薬用植物として利用されてきたとのこと。 狭山丘陵東端辺りは鎌倉古街道(中世)があった所で、当時新田義貞は鎌倉幕府攻めのためこの一帯を拠点にして戦った戦場地で、今も供養塔があります。武将は采配を振り、兵士達は雑木林に群生するサイハイランの球根も食して果敢に戦ったのでしょうか。 あの花の様相は彼らの亡霊のようにも見られます。
  現在、自治体によっては絶滅危惧種に指定。当地に生息するサイハイランは現状維持の状態ですが、要注意です。(石田祐三)
 





 
 
  地表面に露出した球根(偽球茎)。光が十分当たらなくても地表に出たものは日焼けして緑色になるが、地下のものは色白。   果実(刮ハ)をつけたサイハイランの全景。全部で6個の果実をつけた。花期には枯れていた葉も大きく成長し、次期花期まで越冬する様はヒガンバナ等と同じ仕組み。


 





 完熟前の果実の一部を拡大。   採取した果実の形状・大きさ。形状は楕円形(長さ約27 mm, 直径約11 mm)で6つの稜を持つ。同じラン科の仲間シランの果実と形状はそっくり。全体的に15%程小さい。



  果実を輪切りにして取り出した種子。切り口を入れた途端に大量の針状種子が噴き出し、全景はまるでおが屑模様。15倍に拡大してみた種子の平均的大きさは長さ約2.5 mm、直径約50 μm(人の毛髪よりもう少し細い)。全体は白色であるが、中央部分は黄色味を帯びる。



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