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ハラン
―地面に咲く花の生涯―

      

 誰にも気付かれずひっそり咲いて終わるハラン(キジカクシ科、常緑多年草、旧科名ユリ科)。 今回は蕾〜花〜結実までの時間スケール(2月上旬〜5月下旬)で観察してみました。 場所は狭山丘陵。 花は地下茎から出て地面にへばりついて咲きますが、群生する葉や落ち葉に覆われているため見過ごしてしまう。 花の形は王冠状、色はパープル系でしばし見とれてしまいます。 ヒトに気付かれなくても、開花期には薄暗い地面で臭いに誘われて小型動物達が活発に活動しています。 花粉媒介者として、ニホンオカトビムシ(小型陸生甲殻類)が確認されていますが、更に小さなハエ達も関与しているとのことです。
  古来より、葉っぱは抗菌・防腐作用があるとのことで和食料理の飾りつけ(今は安価なプラスチック製)、冬でも青々しているので生け花やお墓の供花等に利用されてきた。 そんなハランにも一寸関心を寄せて下さい(葉蘭からの伝言!)。    (石田祐三)
     
日影で群生するハランの全景 ハランの蕾。色・形とも中華饅頭に似る(2017.3.13)


 
開花直前の蕾。次第に紫色の斑点を帯びてくる(2017.3.28)   開花時の花。王冠形状(約20mm径)で、花被は通常8つに分裂するらしいが実際は7〜9と幅を持つ。 開花時期は場所によるばらつきが大きく、他所では1月下旬に咲いていた(2017.4.3)


 
 初期の液果。色・形とも未熟キンカン(又はカボス)に似る。少し扁平した球形(23x19mm)。 同じ場所で花は5つ確認できたが、実をつけたのは1個のみ(2017.5.11)   ハランの葉柄基部をほぐした微細繊維束。 左端の繊維束の平均径は約150μm。 こんな細い繊維束でも、弱男では容易には切れない程の引張り強度を有す(ヤング率大)(2017.6.8)




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