ミミズの願い、私をもっと知って欲しい

2018年3月1日(木) 新宿区片町1-13-1第3田中ビル 2階会議室
 2018年3月1日(木)に行われた木の日研修について報告します。
タイトル:「ミミズの願い、私をもっと知って欲しい」
講 師:石塚小太郎先生(ミミズ研究にて学位取得(農学博士))2006年から林野庁の 森林保護員として高尾山域の国有林の巡視を行っている。国立科学博物館特別研究生等として研究従事。
場 所:新宿区片町1-13-1第3田中ビル 2階会議室
実施内容:ミミズの「はたらき」「生態・形態」「意外な生態・行動等」をもっと知ってほしいという願いを込めての講演。
参加人数:38名(内訳:FIT36名、神奈川1名、埼玉1名)
スタッフ:8名(池田・小川能・大山・金谷・木口・陣野・加藤・後藤)
報告者:後藤裕子
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 ミミズの研究は遅れていて、20世紀になっても、他の生物の18,19世紀の研究すらされていなかった。ミミズの種類は当初50〜60種ほどだったが、石塚先生の観察により500〜1000種に増えた。日本に生息する陸生の大型ミミズは主にフトミミズ科、ツリミミズ科、ジュズイミミズ科の3科に所属するが、そのうちフトミミズ科が95%以上を占めていることが判明した。また、先生の研究により、フトミミズ科のミミズの土壌における生息層は、表層、浅層、深層の3つに分類でき、生息層によって生態や体構造の特長が異なることも判明された。
<1>表層種:落ち葉の下や糞粒中などの土壌表面に生息し、土壌、落ち葉を摂食する。卵胞のみが越冬する一年生タイプ。(ヒトツモンミミズ他)
<2>浅層種:スレンダー。地中に生息する地中種で浅層(0〜30p)に生息。腐植質の豊富な土壌を摂食する。越年生。
<3>深層種:地中種で深層(30p〜数m)に生息。多くは1m以上の深さに生息し、土壌、落ち葉を摂食する。ほとんどの種が越年生。降雨中や降雨後に地上に出てくる。太くて大きい。末端部が膨らむ。逆立ちになって肛門を地表から突き出し脱糞を繰り返し糞塔を作る。(タカオミミズ他)

ミミズと土壌
・ミミズの体の構造:ミミズの体の8割以上は土のつまった袋で、短時間で土を糞として排糞するので土壌製造機といえる。
・ミミズの糞:植物の根が伸びられる深さの土は何度もミミズのお腹を通過したもので、これは土壌の団粒となり団粒構造を形成。それは土壌の生態系を支え、陸上の植生をもたらし、しいては陸上の生態系を支えているといえる。
・ミミズの食べ物:土、落葉、腐植質を摂食するが、消化しているものは、ミミズが摂食した細菌、微生物が有機物を分解した養分を、ミミズが吸収(横取り)している。細菌、微生物にとってはミミズの腸内は居心地が良いので共生関係になる。
・土壌の耕作:体節と剛毛を使って、土のトンネルを掘って左右上下にひっくり返し、かくはん、運搬することで、大地を耕している。
・土壌への窒素の供給:ミミズが死ぬと、土の中で1日で溶けてドロドロになる。体内細菌が多く、これが自己消化している。体の5〜7割を占めるタンパク質やヌルヌルの体液からのアンモニアが周りの土へ流れる。

 1個体で1日にどれくらい土を摂食し、糞として排出するのか:排糞量は体重の2〜3割程度といわれ、体重10gで考えると、1日で2,5g、6カ月の一生で400gの排糞量になる。これをビニール袋に入れてご提示。その他、様々な大型ミミズの標本などの実物をとおして、ミミズの興味深い世界を見せてくださった。
 ミミズは個体差が大きいため、種の判定には10個体以上が必要。雨後に出てくるミミズは、早朝イノシシが食べてしまうので、それより早くに現地入り。深層種についてはシャベルで1m以上掘る。これらのご苦労は序の口でしょう。想像を超えるエネルギッシュな観察と研究の継続で、ミミズの研究の2〜3世紀分の空白が埋まってきたということでしょうか。すごい迫力です。
 先生は小学生にもミミズのお話をして、魅了しているようです。私も庭や山で出会うミミズに愛しさを感じるようになりました。もっと多くの人にミミズに目を向けてほしい。おや、石塚先生の魔法にかかったようです。「ミミズの話」拡散させましょう♪


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